Up ブリ 作成: 2024-12-04
更新: 2024-12-04


      菅江真澄 (1789), pp.255-257
    (寛政元(1789)年10月) 十七日
    上風といふが吹て空の晴たれば、此 (亀岡郡戸井村) 運上星を出たつ。
     ‥‥‥
    行ゆく,はまにアヰノ、メノコをたづさへて、かゞめてふものを刈もて来けるを見れば、ひろめに似てことなり。
    (オツカイ)ひとり、はなれその立岩の末に立て、いとながやかなる木のさほして、鰤魚(オソボロスケ)(ぶり)てふチエツフ釣とて、かもしゝの角を、ふたき(二寸)あまりにけづり、河豚の皮をいさゝか附て(ケム)をさし、糸をつけて浪のうへに投て、ひたうちにうつやうにしてけり。
    そのち(鈎)のかたちの水に入ては、いわしのひれふるに似たれば、ヲソボロスケのひくとなん。
    げにやあらん、大なるぶりひとつを釣りて岩をくだり、こなたざまにもてく。