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『菅江真澄全集 第2巻』(未来社, 1971). p.150
オトシベについて休らへば、
雨やふりこん、空のけしきよからじとて、運上家のあるじのとどめつれば、
日たかく宿っきてかたらふ。
此コタンは、シャモの家居もはたち斗たちならび、アヰノのチセヰもいと多く、かやが軒端のいやかさなりて、くれ近く夕顔の咲かかりたる垣根をへだてて、シャモもアヰノもなりむつびてものいふ。
夷の家の 軒ばを近み タがほの つゆもへだてぬ すみかなりけり
更るまで月見てふしぬ。
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天詮──夷辞賎栖家などチセイといひ、貴き家をさしてヤカタとぞいふなる〕
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