(1) 海洋と CO2
- CO2 は,大気と海洋を出入りする。
- 大気中の CO2 が海洋中に移動することを,学者は「CO2 が海洋に吸収される」と表現する。
- 「吸収」が単純に CO2 分子の自由運動の現象であれば,大気中の CO2 量と海洋が CO2 を吸収する量は,<一方が増えれば他方が増える>の関係になる。
さらに,比例関係と見なすことになる。
(2) 植物と CO2
- 大気中の CO2 量の増加は,光合成で CO2 を吸収する陸上生物にとって有利である(註)。その生物は増加する。
光合成陸上生物の増加は,大気中の CO2 の減少になる。
──負のフィードバック
(3) 化石燃料の燃焼で排出される CO2 の行方
- 化石燃料燃焼及びセメント製造によって大気中に排出される CO2 量は,指数関数的に増加している。
一方,大気中の CO2 量を計測すると,これは線形の増加になっている。
- 指数関数的増加と線形増加の差Dは,どう説明したらよいか?
学者には説明の手立てが,上に述べた海洋と光合成陸上生物しかない。
そこで,海洋の吸収量d,光合成陸上生物の吸収量d′ ,その他d'' で説明をつくる。
- d, d′, d'' の値は推定するしかない。
D を導く値であって且つもっともらしく見える値を,推定する。
あなたはこれまで,定めしつぎのように思ってきただろう:
「 |
学者たちは D, d, d′, d'' を,具体的な数値を以て論じている。
彼らには,これが測れるのだ。
学者とは途方もないことをやってのけるものだ。
凄い!」
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しかし残念ながら,そうではない。
彼らは,勘でやっている。
勘でモデルをつくり,勘でこれの入力を定め,そしてモデルに計算させているのである。
余談
つぎのように問われたら何と答えたらよいか:
「 |
人の呼吸は CO2 の排出だが,これは大気中の CO2 量を増やしているのではないか?」
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つぎのように答えるべし:
「 |
大気中の CO2 量は,平衡 (定常) に至る。
自然の平衡 (定常) の形は決まっていて,それは周期的変動である。
人の呼吸の CO2 排出は,CO2 量の周期的変動のなかに折り込み済みである。」
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註.
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渡辺正 (2012), pp.32-34
野外の耕地だとやりにくいが (ただし不可能ではない) ハウス栽培なら CO2 濃度を変えやすい。
CO2を増やすには、ハウス内で灯油やプロパンを燃やしたり、液体 CO2 のボンベからハウス内に供給したりする。
作物の種類や天候に応じ、CO2濃度を 800〜1500 ppm (大気中の2〜4倍) に高めることが多い。
‥‥‥
CO2 濃度を天然プラス 300ppm や 600ppm に上げると、どの作物も数十%レベルで収量が増す。
[http://www.co2science.org/data/plant_growth/dry/dry_subject.php から抜粋]
‥‥ CO2 濃度を大気中より下げる栽培実験もずいぶん行われてきた。
たとえば濃度を 200ppm に下げたときの収量は、トマトが 30%の減で、キュウリが 60%の減というデータがある。
CO2 濃度が150ppmよりも低いと、発芽さえ満足にできない。
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引用文献
- 渡辺正 (2012) :『「地球温暖化」神話──終わりの始まり』, 丸善出版, 2012.
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