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村井 (2024), pp.7-9.
インターネットは本来、コンピュータ同士の通信ネットワークですから、データをやりとりするときに、双方向に同じ量のトラフィックが交換されるだろうと設計してありました。‥‥‥
しかし、現実の利用では、インターネットから大量のデータを下ろしてくるばかりで、大きなデータを上げる用途はほとんど観測されませんでした。
そのため、多くの国の事業者は、技術原則より経済合理性を重んじて、下り回線を太くする一方、上り回線は細くすることでコストも下げるという設計をすることが多かった‥‥‥
日本では、一般家庭まで光ファイバーを引く双方向に強いFTTH (ファイバー-トゥ・ザ・ホーム) が普及していた‥‥‥
実は、光ファイバー網が一般家庭まで届いている国はあまりありません。
日本では、固定ブロードバンドにおける光ファイバーの普及率は八割を超えていますが、インターネット先進国のアメリカでも二割に満たないし、ドイツやイギリスに至つては一割にも達していません。
FTTHはいわば日本のお家芸のようなもの‥‥‥
日本のFTTH普及を牽引してきたのは、専門的技術ベースの通信政策です。
当初、一般家庭まで光ファイバーを引くのはオーバースペックだという見方もありましたが、NTTの「フレッツ光」が日本全国の足回りを固めていた‥‥‥
ケーブルテレビ大国のアメリカは、ケーブル回線によるインターネット接続が一般的でした。
ケーブルテレビというのは、元来が「(双方向の)通信」ではなく「(一方通行の)放送」なので、「上り回線を太くする」という発想がもとからありません。
家庭からデータが上ってくること自体、なかったからです。
そのため、アメリカは上り回線が弱い。
それは、多くの先進国でも同じです。
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本ウェブサイトの m-ac.jp は自宅サーバだが,FTTH でなかったらこれはできていない。
特に近頃は,個人サーバとは不釣り合いなとんでもない数のページアクセスが,m-ac.jp に対してある。
理由は,多くの企業・機関が生成AI を開発しようとして,これに用いるビッグデータを WWWで漁っていること。
この膨大なアクセスに m-ac.jp が耐えていられるのも,FTTH の高スペックのおかげである。
ちなみにアクセス数を求める方法は:
linux ではウェブサーバへのページアクセスが,ディレクトリ /var/log/httpd の中の access_log ファイルに記録される。
これはテクストファイルであり,1アクセスにつき1行。
よって行数が,ページアクセス数になる。
例えば,11月3日の access_log は,ファイルサイズが 2,048,024バイトであり, 「wc -l」コマンドで行数を求めると,417,579。
そしてこの数のアクセスのほとんどが検索ロボットのアクセス,というわけである。
Google なんかは毎日訪れてくれている。
おかげで,その日作成したページが,すぐに Google 検索に現れる。
タイミングが合えば,即日ということもある。
「Google 恐るべし」である。
- 引用文献
- 村井 純 (2024) :『インターネット文明』(岩波新書), 岩波書店, 2024.9
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