多くの細菌は、獲得免疫に似た「CRISPR-Casシステム」と呼ばれる防御システムを持っています。
CRISPR-Casシステムは、DNA領域「CRISPR領域」と、その領域近傍のcas遺伝子群にコードされる「Casタンパク質群」から構成されています。
CRISPR領域
約25〜50 bpの回文様のリピート配列(図中赤色部分)が、25〜50 bpの間隔(スペーサー配列)(図中青色部分)を介して反復している領域。スペーサーの配列には共通性はない。反復数は多いもので249回に及ぶ。
cas遺伝子
CRISPR領域の近傍に存在する。
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このシステムを持つ細菌は、ウイルスなどが侵入すると、ウイルスのDNAの一部を切り取り、細菌のゲノム上のCRISPR領域に組み込みます。
ウイルスのDNAを組みこんだCRISPRのDNA配列は、RNAに変換され、複数の断片に切断されます。
切断されたRNAをCRISPR RNA(crRNA)と呼び、これらは、防御システムに関わるCasタンパク質と複合体を形成します。
この細菌が、再度同じウイルスに感染しても、ウイルスのDNAやRNAと適合するcrRNAを持ったCasタンパク質複合体が反応し、そのウイルスを攻撃し排除することができます。
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