Up 水食 作成: 2024-03-21
更新: 2024-03-21


      和田信一郎『土壌学』, 13. 畑の土, p.214.
    一般に土が,その場所での機構や植生に対応した特徴的な断面形態を持つようになるには,少なくとも数千年単位の長時間を要する.‥‥‥
    森林土を畑に転換した場合,厚いO層は,L層の排除,F層,H層の下層への混和などのために短期間で失われる.
    畑では播種したのち,作物が成長するまでの間,そして作物を収穫した直後には,土の表面が植生に覆われることなく露出する.
    この期間に表流水を生ずるような強度の降雨があると,膨軟になった表土は表流水に分散して流出する.
    いわゆる土壌侵食(水食)である.
    浸食の結果,畑地化する以前の土のA層の一部または全部が失われていることも稀ではない.
    場合によってはA層とB層の全体が失われることもある.
    このような深刻な土壌浸食をうけると,もはや畑としては利用することができず放棄される.


    「深刻な土壌浸食 → 畑地放棄」をもたらす「強度の降雨」は,必ずやって来る。
    それに遭ったことが無いのは,やって来ないということではなく,長時間にわたればやって来るということである。
    そしてその長時間は,土壌形成に要する「千年単位の長時間」と比べたら,短い。
    そのくらいの長時間にわたれば,現在の畑はすべて一旦放棄地──不毛の地=サバク──になる。

    ただし,植生が豊かなところは,サバクの周りの植生がサバクの中に侵入する格好で,サバクに植生を復活する。
    しかし,既にサバク化が進行しているところでは,放棄地はそのままサバクになる。


    例えば,ヨーロッパ。
    アフリカの地中海に面したサバクが,いま地中海対岸のヨーロッパにジワジワと拡がっている。
    そしてこの砂漠拡大は,農作・放牧が導いてきたものである。

    サバク化は,乾燥化 (降水量減少・日照量増加) と<正のフィードバック>関係にある。
    このループに入ると,サバク化は進行速度を増すばかりになる。
    ヨーロッパは,このループに入っている観がある。


    しかしひとは,サバク化が見えない。
    なぜなら,サバク化の現象である<日照量が多い → 気温が高い>が,ひとを「CO2排出地球温暖化」の信仰に向かわせるものになっているからである。

      ヨーロッパのサバク化